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最終更新:2026年11月07日

4〜6月の残業で社会保険料は上がる?標準報酬月額の決まり方と9月からの影響

公開 2026-11-07最終確認 2026-11-07手取りナビ編集部

4〜6月に残業が多いと、社会保険料が上がることがあります。健康保険と厚生年金の保険料は「標準報酬月額」で計算され、標準報酬月額は4月・5月・6月に支払われた給与(残業代を含む)の平均で決まり、その年の9月から翌年8月まで使われるからです。ただし影響するのは保険料の「等級」が変わったときだけで、少しの残業ならそのままのこともあります。

このページの要点

  • 健康保険と厚生年金の標準報酬月額は、毎年4月・5月・6月に支払われた報酬の平均で決まり、その年の9月から翌年8月まで使われます(定時決定)。
  • 標準報酬月額のもとになる報酬には、基本給のほか残業手当や通勤手当も含まれます。
  • 4〜6月の判定は、給与の計算対象の月ではなく、実際に給与が支払われた月で行います。
  • 4〜6月の平均と年間の平均の差が2等級以上あり、それが業務の性質上毎年起こる場合は、年間平均で決める申し立てができます。

社会保険料は「標準報酬月額」で決まる

会社員の健康保険料と厚生年金保険料は、毎月の給与そのものではなく、給与を一定の幅で区切った標準報酬月額に保険料率を掛けて計算します。厚生年金の標準報酬月額は1等級の8万8,000円から32等級の65万円まであり、保険料率は18.3%を会社と本人で半分ずつ負担します。

協会けんぽの令和8年度(2026年3月分から)の保険料額表(東京支部)では、次のように区切られています。

報酬月額標準報酬月額本人負担(健康保険+子ども・子育て支援金+厚生年金、40歳未満)
29万円以上31万円未満30万円4万2,570円
31万円以上33万円未満32万円4万5,408円
33万円以上35万円未満34万円4万8,246円

東京支部の健康保険料率は9.85%、子ども・子育て支援金率は0.23%(2026年4月分から)です。40歳から64歳の人は、これに介護保険料率1.62%が加わります。健康保険料率は都道府県ごとに違うため、自分の都道府県の料率は都道府県別の健康保険料率で確かめられます。

標準報酬月額が決まる3つのタイミング

日本年金機構によると、標準報酬月額は次の3つの場面で決まります。

決め方いつ使われる期間
資格取得時決定入社したとき入社した月からその年の8月まで(6月から12月に入社した人は翌年8月まで)
定時決定毎年7月1日時点で、4〜6月の報酬からその年の9月から翌年8月まで
随時改定昇給・降給などで固定的賃金が変わったとき変動した月から4か月目以降

ほとんどの会社員にとって、毎年の保険料を決めるのは定時決定です。4月・5月・6月のうち、支払基礎日数が17日以上ある月の報酬の平均をもとに、新しい標準報酬月額が決まります(特定適用事業所で働く短時間労働者は11日以上)。

残業代や通勤手当も「報酬」に含まれる

標準報酬月額のもとになる報酬は、基本給のほか残業手当や通勤手当なども含めた税引き前の給与です。労働の対価として経常的に受けるものはすべて含まれ、通勤定期券のような現物で支給されるものも報酬になります。一方、臨時に受けるものや、年3回以下の賞与は含みません(賞与は別に「標準賞与額」として保険料がかかります)。

注意したいのは、4〜6月の判定は実際に給与が支払われた月で行うことです。日本年金機構の算定基礎届の注意書きでは、支給月は給与の計算対象となった月ではなく、実際に支払いを行った月とされています。たとえば「3月の残業を4月25日の給与で払う」会社では、3〜5月に働いた残業代が4〜6月の報酬になります。

4〜6月の残業で保険料はいくら上がるか

東京都の協会けんぽに加入する40歳未満の人で、ふだんの給与が月30万円の人を例にします(2026年度の料率で計算)。

ケース4〜6月の報酬の平均標準報酬月額本人負担の月額
残業が少ない30万円30万円4万2,570円
毎月4万円ほど残業代が出た34万円34万円4万8,246円

この例では、本人負担が月5,676円、9月から翌年8月までの12か月で6万8,112円増えます。残業代として4〜6月の3か月に受け取った額は12万円なので、保険料の増え方は小さくありません。

保険料が変わる時期にも注意が必要です。保険料は月単位で発生し、会社は毎月の給与から前月分の保険料を差し引くことができます。前月分を差し引く会社では、9月分の新しい保険料は10月に支払われる給与から引かれます。

一方で、標準報酬月額は厚生年金保険料だけでなく、老齢厚生年金の額の計算にも使われます。保険料が上がった分がすべて損になるわけではありません。

4〜6月だけ忙しい職場は「年間平均」で決められる場合がある

4〜6月が毎年の繁忙期にあたる職場では、4〜6月の平均で決めると実態より高くなりすぎることがあります。このような場合、次の条件にあてはまれば、前年7月から当年6月までの1年間の報酬の平均で標準報酬月額を決めることができます。

  1. 4〜6月の平均から出した標準報酬月額と、前年7月〜当年6月の平均から出した標準報酬月額との間に2等級以上の差がある
  2. その差が、業務の性質上、例年発生すると見込まれる

この申し立ては会社が算定基礎届に申立書(様式1)と、例年の状況や被保険者の同意などを記載する書類(様式2)を付けて行います。本人が年金事務所に直接申し込むものではないため、毎年4〜6月が忙しい職場の人は、会社の担当者に相談してください。

7月以降の残業は定時決定に影響しない

定時決定で使うのは4〜6月の報酬だけなので、7月以降に残業が増えても、その年の定時決定には影響しません。

また、途中で保険料が変わる随時改定は、昇給や降給、手当の新設など固定的賃金が変わったときが対象です。残業手当は固定的賃金ではないため、残業時間が増えただけでは随時改定になりません。固定的賃金が変わり、その月から3か月の平均で標準報酬月額に2等級以上の差が出たときに、4か月目から改定されます。

4〜6月の残業を減らせるかどうかは仕事の都合で決まることが多く、保険料だけを理由に調整するのは現実的でない場合もあります。保険料の増加は年金額にも反映されるため、全体で考えるのがおすすめです。

自分の年収で社会保険料がいくらになるかは、手取り計算機で概算できます。標準報酬月額の等級や手続きの詳しい扱いは、勤務先の担当者や加入している健康保険(協会けんぽ・健康保険組合)、年金事務所で確認してください。

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参考にした資料

内容は2026年11月7日時点で上記の資料をもとに確認しています。制度は変わることがあるため、手続きの前に公式の情報を確認してください。

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よくある質問

4〜6月に残業すると本当に社会保険料が上がりますか

残業手当も報酬に含まれるため、4〜6月の残業が多いとその平均で標準報酬月額が上がり、9月から1年間の保険料が上がることがあります。

3月分の残業代が4月に支払われた場合はどうなりますか

定時決定は実際に支払われた月で判定するため、4月に支払われた分は4月の報酬として計算に入ります。

7月以降にたくさん残業した場合は保険料に影響しますか

定時決定には影響しません。また、残業時間が増えただけでは随時改定の対象にもならず、基本給などの固定的賃金が変わったときに随時改定の対象になります。

標準報酬月額が上がると何かよいことはありますか

標準報酬月額は将来の老齢厚生年金の額の計算にも使われるため、保険料が上がった分は年金額の計算にも反映されます。

このページを引用・参照するとき

出典の表記例:「4〜6月の残業で社会保険料は上がる?標準報酬月額の決まり方と9月からの影響」手取りナビ(https://tedori-nabi.com/column/shakaihoken-4gatsu-6gatsu/)2026-11-07更新

出典:財務省 令和8年度税制改正大綱、国税庁、協会けんぽ 令和8年度保険料率、厚生労働省 雇用保険料率をもとに当サイトで計算。

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